『インフレ連動債の嫌な動向』
インフレ連動債をご存知だろうか。米英で、そして最近では日本でも一部の発行体のみに認められた「債券」である。通常の国・自治体・企業が発行する「固定金利債券との違い」は、元本・クーポン(利息)のどちらかないしは両方が、発行条件に明示されている物価指数の調整を受ける。2004年2月から、国・公共団体・金融機関系法人のみが購入可能となった「10年物物価連動国債」で具体的にみると、償還時、「元本に対するクーポン利率は固定」だが、「元本及び受け取りクーポン額が3ヶ月前のCPIに連動する」という代物だ。
この「インフレ(物価)連動債」の動向は、「インフレ期待を示す」とされる。例えば、10年後に1万円で償還される長期債が6139円で流通しているとすると、名目金利は「年5%」となる。対して、10年後の償還額が「現在価値1万円」のインフレ連動債が7441円で取引されていると、実質金利は「年3%」。こうした場合「5%−3%=「2%」をもって、「金融市場は10年の間に年平均2%のインフレが起こりうると想定している」と解釈される。
また、こんな見方もできる。「インフレ率上昇」と読んだ投資家がインフレ連動債の買いを進めた結果、通常国債等に実質利回り「マイナス」ものが出てくる。仮にマイナス幅が「0・30%」なら、「償還時までのインフレ率は、年3・0%前後になろう」と受け取られる。
また、インフレ債の実質利回りが「マイナス」となった時、例えばそれが「マイナス0・4%」なら、「同インフレ債の償還時まで、年4%の(ハイパー)インフレの危機が高い」と評価される。
実は4日のTIPS(インフレ連動債)市場で、「償還まで5年以下の8銘柄が、実質マイナス金利となった」のである。例えばそのうちの一つ、2011年4月償還のTIPS(*)のこの日の最終利回りは、「マイナス0・32%」。市場は、「*は、償還時点までのインフレ率が、年2・30%前後になると教えている」と捉える。
景気後退かの物価高(スタグフレーション)論まで出てきている状況を考えると、「厄介な金融事由が、また一つ増えたな」と、気分が重くなる。
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